夕焼け

空き家強制撤去の過去と未来

空き家が日々増加して行く中、国や自治体もただただ黙って見ている訳ではなく、既存法律の建築基準法や条例を利用したり、行政単位の条例を新たに出したりしています。

ただ、既存法律や条令では強制的な空き家撤去までにいくつもの壁があることが多いのです。

その壁を低くし容易に助言から命令までを出すことができるようにした法律が空家特措法です。

空家特措法は、空き家の強制撤去を目的に作られた訳ではなく、危険な空き家を減らすことを目的としており、有効活用から撤去までをし易くするための法律と言うことになります。

 

空き家対策としては大きく別けると2つあります。

  1. 活用可能な空き家を有効利用
  2. 危険な空き家を除却

国や行政としても全ての空き家を撤去しろと言っている訳ではなく、危険な空き家をなくしたいと言っているのです。

空き家が厄介なのは、現在危険ではない空き家でも今後長期間に渡り放置されることで危険な空き家へと変化してしまうということです。

ですので、活用可能な空き家は今のうちに有効利用し活用してしまうことが賢明になります。

 

しかし、危険な状態である空き家に関しては除却に向け促して行くことになります。

除却に至るまでにも2通りあり、所有者主体による除却と行政による強制撤去です。

 

所有者による除却とは、行政などによる助成金や補助金などを利用してもらい、空き家の除却にかかる費用の軽減をはかり撤去に向けて自主的に動いてもらうということです。

この方法で危険な空き家の除却まで行けば行政としても時間や労力を割く必要はなく経済的と言えるでしょう。

対して、自主的に行動を起こしてもらえない所有者には、行政代執行などによる強制的な除却が行われることになります。

 

この行政代執行による空き家の強制撤去には、過去の法律では中々撤去にまでは行動に移されませんでした。

そのひとつの法律である建築基準法では、建築した時点では適法だったが法律が時間と共に変化し不適格となった建物を既存不適格と言いますが、この不適格な建物の中でも危険であったり有害である場合は、除却の対象となります。

しかし、具体的に何が危険なのか有害なのかを明確に証明する必要があり、全国を見てもこれにより強制撤去まで行った建物は皆無に等しいでしょう。(実際には数件の実例があるようですが、空き家問題の解決にまでは至らない)

この様に、過去の法律では空き家の撤去に至るまでに大きなハードルがいくつもあり、空き家問題の対策としては無意味なものが多く問題を解消することは困難なのです。

 

そこで出て来たのが冒頭でもお話しをした空家特措法なのですが、その前に各行政が自主的に条例を定めたりもしています。

行政の条例としては、空き家条例を新設する他、既存の景観条例や環境条例に追加する形で定めるケースもあるようです。

 

新規で定める空き家条例の内容はどこも似たり寄ったりで、近隣住民からの苦情や通報による情報提供を受け空き家の発見に至り、近隣の聞き取り調査や現場確認を行い、危険な空き家と判断された場合は、空き家所有者の特定を行い助言及び指導を経て勧告まで行います。

勧告に従わない場合は、所有者へ事情聴取を行い命令へと移行され、それでも従わない場合は行政代執行となるケースが多いようです。

 

東京都で空き家条例を定めている自治体は、11自治体(下記参照)で今後も増えて行くことが予想されます。

空き家条例を定めている東京都の自治体

  1. 新宿区
  2. 渋谷区
  3. 中野区
  4. 杉並区
  5. 台東区
  6. 豊島区
  7. 墨田区
  8. 足立区
  9. 大田区
  10. 八王子市
  11. 小平市

この他にも世田谷区では、2016年4月施行を目指して条例制定を進めており、文京区では空き家等対策事業を進めており空き家を有効活用した事業を行っています。

 

既存の景観条例や環境条例に追加する形で定める空き家に関する条例としては、地方や観光地で多く制定されており、景観が損なわれてしまうような空き家や生活環境に悪影響が出ている空き家に対して厳しい対応を取っています。

しかし、多くの自治体で行政代執行による空き家除却までは至っていませんが、条例があることにより空き家を放置する数が減少したり、自主的に空き家を撤去するなど前向きな行動をする方が増え良い影響を与えていると言えるでしょう。

 

この様な行政による強制撤去がある一方で、所有者が主体となり空き家を除却することを促す助成金制度なども充実してきています。

この助成金に関しては、全ての空き家が対象になるわけではなく、危険な空き家と判断された場合に対象となることが多く、細かい条件に付いては各行政によりことなります。

助成金の対象となった空き家の除却にかかる費用の50%が上限とされていることが多く、上限額が20万円から50万円程度となっていることが多いようです。

 

また、空き家条例などにより除却の勧告を受けた場合、同時に助成金を支給するなどの支援を含めた条例もあり、空き家所有者に負担だけを求めるのではなく行政も協力する姿勢を打ち出している行政もあります。

空き家の所有者で放置してしまっている方の中には、金銭的な面で除却できないということもありますから、一方的に危険だから撤去しろというだけでなく、今後はこういった助け合いの思考も必要になってくるのでしょう。

 

将来的には、空き家の扱いは更に厳しくなって行くことが予測されます。

今は中々行政側も強制撤去に踏み切れずにいますが、空家特措法の後押しもあり、事例が増えてくれば行政も踏み切りやすくなってくるので加速度的に増えて行く可能性があるでしょう。

そうなると、助成金などを出している行政も出せる額には限界がありますので、いつか打ち切られることも考えられます。

空き家をどうするかは所有者次第ですので、所有者の方は他人事と考えずに空き家対策に協力することが賢明です。

 

利用可能な空き家であれば活用し、利用不能な空き家であれば除却。

基本的にはこの2つしかありませんので、良く考え行動に移すべきですね。

 

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